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3.初乳と成乳
母乳は、成分により初乳・移行乳・成乳に分けられます。
初乳→妊娠後半期から産後3〜4日頃に分泌される母乳です。
成乳→産後1週間〜10日以降に分泌される母乳です。
移行乳→初乳と成乳とが混合したもので、産後1週間くらいまで分泌されます。
初乳には、ほんの数滴であっても驚くべきパワーが秘められており、赤ちゃんが離乳食で栄養をしっかり摂るように
なる生後1年頃までの間、赤ちゃんを病気から守る大事なお薬になります。
初乳の重要性は、昔からずっと語られてきましたが、なぜ重要なのでしょうか?
初乳の成分で代表的、かつ赤ちゃんにとって重要な成分は、免疫グロブリンA(IgA)とラクトフェリンといわれるもので、細菌やウイルスから赤ちゃんを守る働きをします。
生まれてすぐの赤ちゃんには、病気への抵抗力・免疫力は十分ではありません。そこで赤ちゃんは、おなかの中にいるときに胎盤を通してお母さんから免疫をもらいます。お母さんからもらった免疫は、赤ちゃんの体に侵入してきた病原体にペタペタとくっついてやっつける力があります。
これに、力を貸して赤ちゃんを守ってくれるのがIgAとラクトフェリンです。
母乳を作り出す乳腺が、免疫物質をも製造する工場になるのです。初乳には、IgAの場合、成乳の10〜20倍、ラクトフェリンは5倍ほど多く含まれています。
IgAは、消化管の粘膜にべったりくっついて、病原体の侵入を防ぐ役割をします。
一方、ラクトフェリンは、腸にとって必要なビフィズス菌には作用せずして、細菌の生育を抑制したり、細胞を活性化させる働きがあります。
出産前にもらった免疫と母乳からもらった免疫機構の相互作用により赤ちゃんは病原体に負けない体を作ることができるのです。この免疫機構は、生後5〜6ヶ月頃まで効果を発揮し、その後赤ちゃんの免疫力は一旦低下します。離乳食開始と共に、今度は自力で少しずつ免疫機構を備えていきます。
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特徴 |
初乳 |
成乳 |
水分 |
87% |
87% |
100mlあたりのエネルギー |
62.5kcal |
65.0〜68.0kcal |
1日あたりの分泌量 |
200〜500ml |
600〜1,000ml |
タンパク質 |
2.05%
ラクトアルブミン・
ラクトグロブリンが豊富 |
1.2%
カゼインが豊富 |
糖分 |
3.6% |
7.0% |
塩類 |
0.31% |
0.17% |
性状 |
中性を示し、半透明黄
色で粘稠性が大きい |
中性または弱アルカリ
性を示し、不透明白色
で粘稠性は小さい |
【参考文献】
松本清一編:系統看護学講座専門23 母性看護学[2] 母性看護学各論,医学書院,1997.
坂元正一監修:ナースのための産科学,南山堂,1998.
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